感情と向き合うセルフケア術:セルフヘルプフォームの実践ガイド

日々の生活の中で、私たちはさまざまなストレスや困難に直面します。そんなとき、自分自身で感情や思考を整理し、健全な方法で問題を解決できたら素晴らしいと思いませんか?

今回ご紹介するのは、REBT(Rational Emotive Behavior Therapy)の「セルフヘルプフォーム」を活用して、自分自身をカウンセリングする方法です。

REBTは、自分の中にある「頑なで極端な態度」を柔軟で現実的なものに変えることで、感情や行動をより健康的に導く心理療法です。その中でもセルフヘルプフォームは、自己理解を深め、日常のストレスや不安を軽減するためのシンプルで効果的なツールです。

このブログでは、セルフヘルプフォームの具体的な使い方を、実例を交えてわかりやすくご紹介します。読者の皆さんが自分の感情や思考を整理し、自己成長に役立てられるようになることを目指しています。ぜひ最後までお付き合いください!

セルフヘルプフォームの概要

セルフヘルプフォームは、REBTの基本的な考え方に基づいて、感情や思考を整理し、健全な解決方法を導き出すためのツールです。このフォームでは、以下のようなステップを順に記入することで、自分自身をカウンセリングするプロセスを体験できます。

セルフヘルプフォームの基本構造

セルフヘルプフォームは以下の8段階からなります。

  1. A: 逆境(Adversity)
    • 自分が直面している具体的な問題や状況を客観的に記入します。ここでは感情を交えず、事実を簡潔に書くことがポイントです。 
  2. 重要なA(Critical Adversity)
    • その逆境の中で、特に苦痛を感じる部分や困難な点を特定します。感情が揺さぶられる原因を深掘りするプロセスです。 
  3. 結果(Consequence)
    • その逆境が引き起こす感情や行動を記入します。ここでは、不健康でネガティブな感情(UNE: Unhealthy Negative Emotions)や自滅的な行動・思考を具体的に書き出します。
  4. 目標 (Goal)
    •   感情や行動をどのように変えたいかを考え、感情面、行動面、思考面の3つで健康的でポジティブな目標を設定します。例えば、行動面では「緊張をなくす」ではなく「緊張を受け入れた上で行動に集中する」といった現実的で実現可能な目標を立てることが大切です。 
  5. B: 頑なで極端な態度(Rigid and Extreme Basic Attitude)
    • その逆境に対して、自分が抱いている非現実的で極端な態度を記入します。これらの態度が、不健康な感情や行動、思考を引き起こす原因になっています。
  6. 柔軟で極端ではない態度(Flexible and Non-Extreme Basic Attitude)
    • 頑なで極端な態度を見直し、それを現実的で柔軟な態度に置き換えます。たとえば、「完璧でなければならない」という思い込みを「できる限り最善を尽くす」で置き換えるようなプロセスです。
  7. 態度の検証(Examine Your Attitude)
    • 頑なで極端な態度と柔軟で極端ではない態度を比較し、それぞれが現実的か、論理的か、自分にとってメリットがあるか、目標達成に役立つを検証します。このステップが、新しい思考を定着させる鍵となります。
  8. 効果的で新しい態度と行動(Effective New Beliefs and Behaviors)
    • 最後に、柔軟な態度がもたらす健康でネガティブな感情(HNE: Healthy Negative Emotions)や行動、思考を記入します。記入した感情、行動、思考が最初に立てた目標と合致しているか確認することで自己改善の手応えを感じることができます。

セルフヘルプフォームを使うときの注意点

セルフヘルプフォームを使う上で注意すべきポイントを3つ挙げておきます。この3つを記入時には気をつけてください。

  1. 簡潔に客観的に記入する
    • 感情に流されず、事実ベースで書くことが大切です。
  2. 不健康な感情を「なくそう」としない
    • 逆境に直面している限り、感情が生まれるのは自然なことです。それを否定せず、健全に向き合うことを目指しましょう。
  3. 現実的な目標を設定する
    • ポジティブすぎる目標ではなく、現実的で実行可能な目標を掲げます。

このセルフヘルプフォームを使うことで、自分の思考と感情を整理し、より良い行動を選択できるようになります。次のセクションでは、このフォームを使った具体的な事例を見ていきましょう。

実際のケーススタディ

ここでは、セルフヘルプフォームを実際に使って、自分自身をカウンセリングした具体例をご紹介します。このケーススタディを参考にすることで、セルフヘルプフォームの使い方がイメージしやすくなります。

年齢 22歳の男性
幼少期から人前で話すが怖い。就職する前に人前で話せるようになりたい。

  1. A: 逆境(Adversity)
    • 人前で話すのが怖い
  2. 重要なA(Critical Adversity)
    • 人前に立つと緊張をして手足が震えてしまう。手足の震えを周囲に気づかれ、笑われると恥ずかしい。
  3. 結果(Consequence)
    • 不健康でネガティブな感情(UNE: Unhealthy Negative Emotions)
      • 羞恥心
    • 自滅的な行動
      • 手足が震えているのが気づかれないか気になって、話すことに集中できない。
    • 自滅的な思考
      • 手足が震えているのを気づかれたくない。もし、手足が震えているのに気づかれたらおしまいだ。
  4. 目標 (Goal)
    • 目標とする感情(健康的でネガティブな感情 HNE: Healthy Negative Emotions)
      • 残念(手が震えるのは残念で苦痛だが受け入れられる)
    • 目標とする行動
      • 手足が震えても、それを受け入れ、「話すこと」に集中する。震えに注意を向けるのではなく、聴衆に対して自分のメッセージを伝えることに集中する。
    • 目標とする思考
      • 緊張するのは当然のこと。緊張しているのは、しっかり話したいという気持ちがあるからだ。仮に震えが周囲に分かっても、それが話す内容の価値を減じるわけではない。
  5. B: 頑なで極端な態度(Rigid and Extreme Basic Attitude)
    • 私は人前で話すときに緊張して手が震えてはならない。仮に緊張し、手が震えることが他人に悟られたら、恥ずかしくて耐えられない。
  6. 柔軟で極端ではない態度(Flexible and Non-Extreme Basic Attitude)
    • 私は人前で緊張もなく堂々と話したい。仮に震えが周囲に分かっても、それを受け入れることができる。なぜなら緊張して手が震えるのは、自分が真剣に取り組んでいる証拠だからだ。たとえ手が震えて周囲から笑われてもそれは残念だが、耐えられるし、それで私自身の価値が変わるわけではない。
  7. 態度の検証(Examine Your Attitude)
    • どちらが現実に即しているか?
      • 柔軟で極端ではない態度。人前で緊張することや身体反応が出ることは現実的な反応だから。 
    • どちらが論理的か?
      • 柔軟で極端ではない態度。「手が震えるべきではない」という考えに根拠はなく、普遍的なルールでもないから。 
    • どちらのメリットが高いか?
      • 柔軟で極端ではない態度。震えに意識を向けるよりも、話すことに集中する方が成果がでる。
    • 友人や家族に勧めるのはどちらか?
      • 柔軟で極端ではない態度。プレッシャーを減らし、現実的な行動が取れるため。
  8. 効果的で新しい態度と行動(Effective New Attitude and Behaviors)
    • 柔軟で極端ではない態度を取ることで、過度の羞恥心から「残念」程度の健康的なネガティブな感情に変化し、話をすることに集中できるようになりました。結果として、目標としていた「話に集中すること」が実現できました。

セルフヘルプフォームはシンプルなプロセスですが、繰り返し実践することで効果が実感できます。このフォームを日々の生活に取り入れることで、感情や思考のコントロール力を高めていきましょう!

実践のポイントと注意事項

セルフヘルプフォームを最大限に活用するためには、いくつかのポイントを押さえ、注意すべき点を理解しておくことが大切です。ここでは、実践の際に役立つアドバイスと、陥りやすい誤解やミスを防ぐための注意点を具体的にご紹介します。

実践のポイント

  1. 定期的にフォームを活用する
    • 一度の記入で全てが解決するわけではありません。逆境に直面するたび、または定期的にフォームを記入することで、感情や思考を整理する習慣を身につけましょう。    -特に感情が高ぶっているときに活用すると効果的です。
  2. 感情に向き合い、書き出す
    • 自分の感情や思考を紙に書き出すことで、頭の中で整理されていなかった問題が明確になります。特に「結果」の部分で感情と行動を具体的に記入することが重要です。
  3. 目標を現実的に設定する
    • 目標は「感情を完全になくす」や「UNE(不健康でネガティブな感情)を感じない」といったものではなく、「UNEに健全に向き合う」ことを目指してください。
      • (例)「緊張をなくす」ではなく、「緊張しながらもプレゼンに集中する」といった具体的で達成可能な目標を設定します。
  4. 極端な態度に気づく
    • 記入の際、頑なで極端な態度に「~べき」「~しなければならない」といった言葉が含まれていないか確認し、その態度が厳格な態度ではなく、必ず実現しなければならないと思い込んでいるかを確認してください。
  5. 柔軟な思考を練習する
    • 頑なで極端な態度に代わる柔軟で現実的な思考を繰り返し練習することで、逆境に対する考え方が自然と変化していきます。

注意事項

  1. 感情を否定しない
    • ネガティブな感情は、逆境に直面した際の自然な反応です。それを「感じない」ようにするのではなく、「健康的な形で受け止める」ことが大切です。
    • 自分に「こう感じるべきではない」と言い聞かせることは、問題の根本解決にはなりません。
  2. 結果を過度に評価しない
    • セルフヘルプフォームは完璧な結果を求めるものではありません。目標達成に近づく過程を大切にし、小さな進歩を積み重ねていくことを意識しましょう。
  3. あいまいに記入をしない
    • どのような項目も具体的に記入してください。記入する内容があいまいになりがちな場合は、以下の質問を自分に投げかけてみてください。最初のうちは時間がかかるかもしれませんが、繰り返し練習することで記入がスムーズになります。
      • 「この状況のどこが一番つらい?」
      • 「自分が気づいていない極端な考え方はあるか?」
      • 「これを友人や家族にどう説明する?」

セルフヘルプフォームは、単に感情や思考を書き出すだけでなく、自分自身を見つめ直し、逆境に健全に対処する力を育むツールです。日々の生活に取り入れ、自分のペースで実践していきましょう。

まとめ

日々の生活の中で、私たちはさまざまな逆境やストレスに直面します。そのような状況に対して、自分自身の感情や思考を見つめ直し、柔軟で現実的な態度を身につけることは、心の健康を保つためにとても重要です。今回ご紹介したREBTのセルフヘルプフォームは、そうしたプロセスを助けるシンプルで効果的なツールです。

このフォームを活用することで、感情や思考の整理が進むだけでなく、これまで気づかなかった自分自身の思い込みや行動パターンに気づけるようになります。そして、健全な感情や行動を選択する力が身につくことで、逆境に対する不安やストレスが和らぎ、より充実した日々を送れるようになるでしょう。

セルフヘルプフォームの実践は、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、少しずつでも継続して取り組むことで、徐々に効果を実感できるはずです。今回のブログが、皆さんのセルフケアや自己成長のきっかけとなれば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。ぜひこのフォームを日々の生活に取り入れて、逆境に立ち向かう力を一緒に育んでいきましょう!

  

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