ありのままの自分を受け入れるはなぜ難しいのか?自己受容できない理由と自己受容するために必要な事とは

私たちは、一瞬一瞬を自分自身とともに過ごしています。しかし、その「自分」という存在を真に受け入れている人は、意外にも少ないのが現実です。生きていく上で、自己受容はなぜこんなにも大切なのでしょうか?

自己受容は、自分自身の価値を認識し、そのありのままを受け入れることを意味します。これは、自分の強みだけでなく、弱みや失敗、そして完璧でない部分も含めてです。自己受容ができると、私たちは自己評価に左右されることなく、より自由に、より積極的に、そしてより平和に生きることができます。

現代社会は、常に何らかの基準に照らし合わせ、私たちに「普通であること」を要求します。これはしばしば、「自分らしさ」を失い、他者との無意味な比較に苦しむことにつながります。しかし、本当の意味での幸福は、他者との比較ではなく、自己受容から生まれるのです。

このブログでは、自己受容がなぜ生きる上で不可欠なのかを探求し、自己受容を妨げる社会的常識やモラルにどう向き合っていけばいいのかを考察していきます。そして、自己受容によって得られる内面の平和と自由について、深く掘り下げてみたいと思います。

自己受容は単なるコンセプトではありません。それは、自己実現に向けた旅の出発点であり、幸福へと続く道なのです。

自己受容とはそもそも何なのか? 自己肯定との違いとは

そもそも自己受容(Self-Acceptance)とはどのような意味なのでしょうか?
よく「自己肯定感が低い」という言葉は聞きますが、「自己受容が低い」とは言いませんね。
自己肯定(Self-Affirmation)、そして類義語とされる自尊心(Self-Esteem)は、自己に関する態度を表す言葉ですが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。以下ではこれらの概念を比較しています。それらの違いを明確にすることで、自己受容を正しく理解しましょう。

自己受容(Self-Acceptance):
自己受容は、自分自身の全てを、良い点も悪い点も含めて無条件で受け入れることです。これは自分の弱点や過去の失敗、限界を認識しつつも、それらに対して否定的な判断を下さず、自分をそのままの姿で認めることを意味します。

自己肯定(Self-Affirmation):
自己肯定は、自己の価値や信念を積極的に支持し、確認するプロセスです。これは、自己イメージを保護し強化するために自分の長所や成功を思い出したり、肯定的な言葉で自己を奮い立たせたりすることを含みます。自己肯定は特にストレスや否定的なフィードバックに直面したときに、自尊心を維持するのに役立ちます。

自尊心(Self-Esteem):
自尊心は、自分自身に対してどの程度価値があると感じるか、という感覚です。これは自分に対する全般的な感情的評価を含み、高い自尊心を持つ人は自分自身を肯定的に見ていますが、低い自尊心の人はしばしば自己に対して否定的です。自尊心は、過度になると自己中心的な振る舞いや他者に対する過小評価につながる可能性もあります。

これらの概念は重なり合っていますが、それぞれが自己に関する異なる側面を強調します。自己受容は無条件の自己の受け入れに焦点を当て、自己肯定は自己の価値観を強化すること、自尊心は自己評価の感情的な側面を意味します。これらのすべてが組み合わさって、より健全で満たされた自己像を構築するといわれています。

その中でも自己受容が生きていく中では一番重要な概念なのです。

なぜ自己受容が生きていく中で一番重要なのか?

自己受容、自己肯定、自尊心は前述した通り、どれも自己に対する態度として重要ですが、特に自己受容ができているか、できていないかが生きていく上で一番重要です。
私たちはよく
「自己肯定感が低い」とか「自己肯定感をあげなくちゃ」とよく言いますね。
確かに自己肯定も重要な自分自身への態度ですが、取り扱いには注意が必要です。
なぜならどんな優れた人間であっても欠点は必ずあるからです。
しかしながら自己肯定の考え方はこの欠点さえも肯定せよ、あるいは欠点をみるな、という態度を助長する可能性が極めて高いのです。
その際たるものがアファメーションです。
アファメーションではポジティブな部分にフォーカスし、繰り返し言葉で唱える、イメージする事でなりたい自分になれるというものです。
しかしながら、アファメーションでいくら自己暗示をかけようと、自分の短所、欠点は消えてなくなるものではありません。
人は他人は騙せても自分自身をだます事はできないのです。


では自尊心はどうでしょうか?
自尊心も自分自身に対してとても重要な態度です。
仮に自尊心を失うと、やる気の低下や健全な人間関係構築の妨げ、不登校、うつ、自殺などの問題を引き起こす可能性が高まります。
それほど重要な自尊心も自己肯定と同様に、取り扱いには注意が必要です。
なぜなら人は多様な属性を持った集合体であり、自尊心の基礎となる価値も多様です。
例えば運動能力が高くて見、会社の地位は高くないかもしれません。
しかしながら会社の地位が高くなくても家庭では良い父親、母親かもしれませんね。
逆に会社では優れたリーダーシップを発揮していても、家庭はないがしろにしているかもしれません。
このように、人は様々な側面があり、いくつかの属性をみて、その人自身価値があるか、ないかは判断できないのです。


一概に判断できない事を無理に判断しようとすると自己肯定感と一緒で、自分自身をだますことにつながるのです。
従って価値がある、ない、といった条件に振り回される自尊心を重要視すべきではありません。
重要視すべきは無条件の自己受容なのです。

無条件の自己受容とは

無条件の自己受容とは自分自身の存在や価値を、行動や成果、他者の評価とは無関係に受け入れる考え方指します。
つまり、失敗した時、誤った選択をした時、他者に批判された時でも、自分の価値は変わらないという信念を持つことです。

心理療法家のアルバート・エリスは、多くの人が「自分は〇〇であるべきだ」という条件付きの自己評価を持っていると指摘します。
そしてこの条件付きの自己評価が自尊心の基礎となります。
例えば、「成功しなければ価値がない」とか「みんなに好かれなければいけない」といった考えです。
しかし、これらは非現実的であり、自己評価を過度に下げる原因となるとエリスは警告しています。

その代わりに、彼は「私は完璧である必要はない。失敗や過ちを犯すこともあるが、それによって私の存在や価値が低下するわけではない」という考え方、
すなわち無条件の自己受容を育てることの重要性を強調しています。
このような考え方は、自己の欠点や不完全さを受け入れ、それにも関わらず自分を大切に思うことを可能にします。

なぜ私たちは自己受容ができないのか?

こんなにも大切な自己受容ですが、自分をありのままに受け入れる事はとても難しいことです。
それはなぜでしょうか?
それは私たちは現状維持を認めていけないと教育されて、常識としてしみついているからです。
常に成長を求められる社会。
そこでは現状に甘んじるな、今の自己を否定せよ、と言われ続ける事になります。
ここで私が言いたい事は、成長を望むな! という事ではありません。
成長をするために自己を否定する必要はないと言いたいのです。
まずはありのままの自分を受け入れる事。ありのままの自分を受け入れる事により、初めて自分なりの成長を模索する事ができるのです。

自分を受け入れるための心理的アプローチ

前述した通り、現状に甘んじるな、自己を否定せよと私たちは教育され、それが常識としてしみついている事が自己受容を困難にしています。
このように自己受容を阻む障害が内面化された信念です。
私たちはしばしば、幼少期から受け継いだ価値観や親や社会からのメッセージを内面化し、それらを自分の一部として受け入れてしまいます。これには、自己価値に対する否定的な信念や、成功や幸福に関する制限的な定義が含まれます。これらの信念は、自分自身を真の意味で受け入れることを妨げる心の壁となり得ます。
従って私たちはこの内面化した信念を変える必要があります。
内面化した信念を変えるには心理的なアプローチが不可欠です。
REBT(Rational Emotive Behavior Therapy)における論駁は内面化した信念をかえるのに有効な手法です。
論駁の実際のやり方は下記のブログに記載されていますので是非参考にしてください。

【1人でデキるREBT講座】第四回 自分の不合理な信念(イラショナルビリーフ)を論駁して楽になろう!

前回までで とお伝えしました。今回は不合理な信念を合理的な信念に変えるDespute(論駁)の方法をお伝えしようと思います。 Despute(論駁)とは? 論駁とは ろん‐ばく【…

自分らしさを生きることの力

自己受容は、自分らしさを生きる力に直結します。自己受容が進むにつれて、他人の目や評価に左右されることなく、自分の内なる声に耳を傾け、それに従って行動する勇気がわいてきます。これは、自己実現への道であり、真の自由への扉を開く鍵です。

自分らしさを生きるとは、自分の価値観、信念、情熱に忠実であることを意味します。このプロセスは、個人の独自性を尊重し、その人固有の才能や可能性を最大限に引き出すことを可能にします。自分の感情や欲求に正直になることで、より満足感のある生活が実現するのです。

自分らしさを生きる人々は、社会が定める「成功」の枠を超え、自らの基準で成功を定義します。彼らは、一般的な道を選ばず、自分にとっての意味と喜びを追求する道を選びます。これにより、生活に対する情熱と目的意識が高まり、人生はより豊かなものになります。

ぜひ皆さんも自己受容を実現し、真の成功を手に入れましょう。

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