【1人でできるREBT講座】第五回 絶対やってはいけない 間違った目標設定とは?

一人でREBTのセッションを行う目的は

自分の目標達成を阻害するイラショナルビリーフに気づき、
論駁する事で新しい人生哲学を作りだす事。

しかしながら、一人でREBTを行っているとうまく論駁できない事があります。
自分ではちゃんと決められたプロセス通りにやっているのに

なぜ、論駁できなのか??

そしてある時気づいたのです

そもそも設定した目標が間違っていた!!

今回は

  • 目標設定の間違いはどうして起こるのか
  • どのようにすると正しい目標設定を行えるのか?

他の心理療法も参考にしながら考えていきたいと思います。

間違った目標設定の例

ここでは実際に間違った目標設定をするとどのような結果になるかの例を挙げて一緒に考えていきたいと思います。

あなたは昨年志望大学の入試で失敗した一浪の予備校生です。
昨年は緊張のあまり本来の力を出し切れず、試験は散々でした。
先月志望校対策の模試を受けましたが、やはり緊張してしまいよい点数が取れません。
二浪する事は経済的にも許されず、今年がラストチャンスです。

あなたの目標は

志望校に合格する事

ここでのあなたの目標問題は

試験の時、緊張しない

です。

ではABC理論に則って整理していきましょう

  • A(出来事) 
    • 先月試験の開始のチャイムが鳴った時
  • B(ビリーフ) 
    • 試験に絶対失敗してはいけない、失敗したら人生おしまいだ
  • C(結果) 
    • 失敗したらどうしようと不安に駆られ、試験に集中できず散々な結果となった。

このような状況でD(論駁)に移っていきましょう。

例えば

  • 現実的に試験は失敗する事もある。
  • 絶対試験に失敗してはいけない、と誰が決めたんですか?
  • 試験に失敗してはいけないという信念の持ち続けるメリットは?

といった論駁が考えられますね。

そして新しいビリーフとして

試験は失敗しない方が良いが、失敗する事もある。例え失敗しても人生が終わるわけではない。

しかし、どうでしょうか?

確かにこの論駁は論理的ですし、新しい信念を持つことができるなら試験で緊張しなくなるでしょう。
しかし

果たしてこの新しい信念は本当に納得できるものでしょうか?

試験で失敗する事もあるのは百も承知です。
しかし、この試験だけは成功させたい。
浪人1年の努力は実らせたい。
と思っている人間が、納得できる信念になっているでしょうか?

私が本人ならこの新しい信念を心から納得する事は正直難しいと感じてしまいます。

ではどこで間違ってしまったのでしょう?

それは

目標設定が間違っているのです。

目標設定のどこが間違っているのか?

目標と手段の取り違え

志望校に合格する事

これは一見すると目標といえなくもないですが、実は何かを実現する手段でしかないのです。

では

何が真の目標とは何でしょう?

志望校に合格するという目標
良い会社で就職するための手段

といえます。更に深堀すると

良い会社に就職するという目標
良い年収を得るための手段

といえます。さらにもうちょっとだけ深堀すると

良い年収を得るという目標
良い車に乗って、良い家に住んで、年に3度は海外旅行に行くための手段

ですね

わかった! 僕の目標は良い車に乗って、良い家に住んで、年3度海外旅行に行くことだ!

こんな理想の生活を送ってみたい!!

やっと到達しました。あなたの最終的な目標は

良い車に乗って、良い家に住んで、年に3度は海外旅行に行く事

なのです!!

こんな理想の生活を送ってみたいですね。

あれっ
これが最終的なあなたの目標で本当によいのでしょうか??

目標は理想であってはならない

良い車に乗って、良い家に住んで、年に3度は海外旅行に行く事

正直な話、このような目標をもっている人は多いかと思います。


豪邸、高級車、海外旅行


こんな生活ができれば理想ですね。

この理想に落とし穴があると
アメリカの経営コンサルタントであり、作曲家、映画製作者でもある
ロバート・フリッツは彼の著作の中で次のように述べています。

「理想」という言葉は、何とも立派で素晴らしく感じられる。
しかし、生きる上での物差しとしては間違っている。
真の価値観にも志にもそぐわない。(中略)
理想とは、自分がどうあるべきかを描いた絵だ。
一方、価値観とは、実際に自分が大事にしているものだ。
理想は外側から押し付けられたもので、価値観や志は自分の内側から生まれたものだ。
別の言い方をすれば、理想は偽物であり、価値観は本物である。
(中略)
真の価値観とは、自分が何をより大切であると思っているか、大切でないと思っているかから
生じる。
(中略)

(価値と共に)「どうやって生きたい人生を創り出すか」にシフトするのだ。

自意識と創り出す思考(ロバート・フリッツ著 田村洋一監訳)

自分の価値に沿った目標設定を行う

誰かに言われたからとか、新聞や書籍に書いていたからという
「理想」を追い求めるのではなく自分自身が大切にしている「価値」に
目を向ける事が重要なのです
「価値」はACT(アクセプタント&コミットメントセラピー)の中でも
重要な概念として述べられています。

早稲田大学人間科学学術院 人間科学部 准教授の
大月 友氏はYouTubeの中で
「価値」に関して

  • 価値はコンパスのような方向性を指し示すもので目標やゴールではない
  • 価値はプロセスが重要である
  • 価値は(人から言われたからという理由で決めるものではなく)誰でも自由に選ぶことができる
  • 価値を選んだ理由は必要ない
  • 価値を決めてからその価値に沿った目標設定とアクションプランを策定する

といってしています。


参考:【ACT(心理的柔軟性)を知る】人生のコンパス(価値 vs 価値の混乱)

ロバート・フリッツ氏と大月 友氏の意見をまとめると概ねこのような事が言えるのではないでしょうか。

  • 目標設定をする前に自分が大事にしている「価値」とは何かを考える
  • 「価値」を考える上では「これをいえば他人に認められる」とか「他人からよく思われる」といった「理想」から離れる事
  • 自分の「価値」が沿った形で「自分の人生で何を創り出したいか?」という目標設定をする。
  • 目標が設定できたらアクションプランに落とし込む。

目標設定を正しくしてみると

では、最初の例に戻って目標設定を考えなおしてみましょう。
例えばあなたが大事にしたい「価値」は実は
心理カウンセリングを通しての社会貢献だとします。
自ずと「目標」は
心理カウンセラーとして生きやすい世の中を創り出す
「目標問題」は
大学の入学試験で力を出し切る事
となります。

試験で合格するために緊張しないようにするというものから
試験で力を出し切るという
目標問題に今回変わりました。
この理由はカウンセリングの手法を学ぶのは別に大学だけではないからです。
民間機関で学ぶ事もできる。
ただできれば大学で学びたいという事なのです。
そのために試験に合格するのが目標ではなく、試験で実力を十分発揮できれば良い。
例え試験に合格できなかったとしても、

「心理カウンセラーとして生きやすい世の中を創り出す」


という目標は他の手段で叶えられればよいのです。


すると先ほどの新しい信念である

試験は失敗しない方が良いが、失敗する事もある。例え失敗しても人生が終わるわけではない。

はより自分自身納得いくものになるのではないでしょうか?

まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は目標設定に関して詳しく取り上げてきました。
目標を設定するには自分が大事にしている「価値」を知ることが重要です。
人は「理想」に振り回されやすいですが、これからは「価値」に着目して目標を設定していきましょう。

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