【REBT心理士が徹底解説】ストレスとは、そのメカニズムからストレス解決法までやってよい事、悪い事
「あーー!! このストレス何とかしたい!」
家庭のストレスに会社のストレス、近所づきあいから親戚づきあいまで。
我々は多くのストレスにさらされています。
このストレスの正体とは一体何なのでしょう?
本稿では、ストレスのメカニズムからストレス解決法までを徹底的に明らかにしていきます。
本稿が日々ストレスに悩まされている方々の一助になれば幸いです。
Table of Contents
ストレスとは何か?
ストレスとは何なのでしょうか?
あなたはどんな時にストレスを感じるでしょう?
大事な試験の前日?
人前で話す時?
満員電車の中?
ストレスを感じる場所、状況は人それぞれです。
つまり
ストレスとは単にのぞましくない出来事自体ではなくて、
むしろそうした出来事をどのように見るかという事によって
引き起こされるのです。
これを心理学では相互作用モデルと呼びます。
相互作用モデルの重要なポイントは2つです。
- 自分にとって脅威的なストレスとなることが、必ずしも他人にとってそうであるとは限らない。
- 我々はストレスの単なる犠牲者ではない。何がストレスになり、人がどのように反応するかの相互作用である。
つまり、
状況をどのように解釈するかが、その状況がストレス反応を生じさせるかどうかを決定する
のです。
ストレスには良いものもある?
悲観的な僕はいつもストレスで押しつぶされそう
ストレスは一般的に怒りや不安等の原因となる有害なものととらえられます。
そのようなストレスは避けたいですよね。
しかし一方で挑戦などの別タイプのストレスは良性であり、むしろ有益と言えるでしょう。
ジェットコースターのスリル大好き!
そうです。
スリルとは、興奮に足るだけのストレスの事です。
しかしスリルでは苦痛を引き起こされません。
こういったストレスは良性のものであり、人生を楽しくするものです。
逆にストレスが少なすぎると退屈でつまらない人生となってしまいますね。
ストレス発生のメカニズム
先ほど申し上げた通りストレスとは状況をどのように解釈するか、つまり
本人の評価が強くかかわってきます。
ストレス発生の過程においては、2段階でストレスを評価します。
- 一次評価
状況が適切か不適切か?
挑戦か脅威か?
といった自分自身の信念や目標、価値に関わる評価です。 - 二次評価
一次評価を受けて
ストレスを克服するための対処手段をもっているか、
(対処手段をもっているとすると)いくつもっているか
といった、いかに自分がストレスに対処できるか?
といったものになります。
ストレスに有効なREBT
ストレスで心臓が張り裂けそう!
一次評価の段階でストレスにしてしまう人は
自分はそのストレスの要因に無力であると考え、実際より状況を深刻に考えてしまいます。
そして、心臓がドキドキする等身体的な反応を起こります。
その身体状況を感じ更に自分は無力だと考えてしまう……
このような状況を引き起こす根底にはイラショナルビリーフ(不合理な信念)があります。
イラショナルビリーフをもつと人は不安や絶望等の不健康でネガティブな感情をもって
自滅的な行動をとってしまいます。
イラショナルビリーフの代表的はものは
「私は~すべきだ」
「私は~をしなければならない」
といった一方的で度を超えた個人の願望です。
この度を超えた願望に続いて、人はその状況に対する以下のような評価をします。
「それができない私は無能だ」
「そんな事をしでかした私は価値がない」
REBTではこのイラショナルビリーフをラショナルビリーフ(合理的な信念)
に変える事でストレス発生の原因となる一次評価自体を変えることができます
このようにREBTはストレスに対する有効な方法と言えます。
REBTのやり方に関しては下記のブログを参照ください。
深刻なストレスに対する様々な対処法
前述した通りREBTで自分のイラショナルビリーフをラショナルビリーフに変えるのは良い対処法です。
しかし人は様々なイラショナルビリーフを持つもの。
そのためREBTでストレスの対処しようとしても時には既にストレスに巻き込まれ身動きができない。
そのような深刻なストレスに巻き込まれた場合、我々はどうすれば良いのでしょうか?
対処法は一つではありません。
絶対的に正しい対処法は存在しないのです。
ただし、対処をする上でストレスにアプローチする考え方としては主に3つあります。
- 状況を変える
これはストレスに感じている要因を除くことです。
例えば
「仕事を変えてもらう」
「周囲に支援を求める」
自分が働きかけてストレスの状況を変えていくのです。 - ストレスの意味合いを調整する
これはストレスが発生している状況を別の角度から吟味する事です。
リフレーミングがそれにあたります。
例えば
「この中でよい部分を数えてみよう」
「我々は運命共同帯なんだ」
等とストレスの意味を考えなおす事です。 - ストレス自体をコントロールする
これは例えば
「ストレスを抵抗せずに受け入れてしまう」
「ストレスがないものと否認する」
等です。
ストレス対処法でやってよい事、悪い事
ストレス対処は前述の通り大きく3つありますが、ここでは2つの深刻な事例を参考に良い対処法と悪い対処法について考えていきたいと思います。
(以下の事例は「ストレス対処法」ドナルド・マイケンバウム著からの抜粋です)
※括弧内の青字は私の方で前述の対処法(状況を変える、ストレス・コントロール ストレス・意味合い調整)どれにあたるか追記しました。
夫を亡くして約6か月後に片方の乳房を切除したある67歳の未亡人がん患者の事例
彼女はさまざまな病気ですでに20回以上入院していました。
しかも自分の身体の障害が重かったのにも関わらず彼女は病気の夫の看護を10年にわたってどうにかやってのけていたのです。
またみなしごの2人の孫の世話もしていました。
そのうちの一人は肺病であったといいます。
さらに悪いことには力になってくれた妹と義弟が最近亡くなり、彼女は天涯孤独に。
手元の財源は不十分でしかなかった。しかし彼女は何とか仕事を続け、公的扶助を求めませんでした。
彼女がストレスを対処する上で助けになった事は以下の通りです。
- 起きた事をそのまま受け止める態度(ストレス・コントロール)
- 一つ一つの事柄を解決すべき問題とか取り組む課題ととらえてくよくよしない
(ストレス・意味合い調整) - 大きな出来事を1つまた1つと処理できる課題に分割する姿勢
(ストレス・コントロール)
ユダヤ人大量虐殺の犠牲者の事例
これはユダヤ人大量虐殺の犠牲者研究からの引用です。
信じがたい残忍な仕打ちと退廃の中を切り抜けるために使われた多様な
解消の仕方を報告されています。
- 良い事への格別な注目
多くの収容者が、食料配給の列に並んだ時にぶたれずに済んだといったような小さな満足に
注意を向け、収容所での一層な悲劇的な事柄を無視しようとした(ストレス・意味合い調整) - 何らかの目的のために生存
人によっては親類縁者を助けるため、何が起きたか世界に証言するために、あるいは復讐するために
生き残る必要性を感じた(ストレス・意味合い調整) - 心理的な除去
このやり方は、どんな感情も感じない方法を身につける事で
ストレスから自分自身を遮断するものであった。
ある人の場合は、レイプや虐待をする兵士は悪魔の化身であり、自分には暴行が及ばない
という妄想を抱いた。(ストレス・コントロール) - 克服感
これは、ストレスに負けない感じがする領分を見出そうとするやり方であった。
ユーモアも、生き残るためのプロセスでは重要な役割を果たした。
(ストレス・意味合い調整) - 集団内の協力関係
こうした協力関係は、情報提供、助言、防衛、自己確認の基盤を提供し、重要な支援を与えた(状況を変える)
ストレス解消法でやった方が良い事
2つの例で分かる通り、深刻なストレスほど状況自体を変える事は難しいのです。
したがって、
ストレスをコントロールする
と
ストレスの意味合いを変える事
が有効であるといえます。
両ケースで共通する姿勢は、どのような酷い状況でもその状況を受け入れている事です。
逆に状況を受け入れない限り、ストレスをコントロールする事も意味合いを変えることができないとも言えます。
ストレス状況においてはまず受容が大切なのです。
まずどんな状況でもひとまずは受け入れてみよう!
状況を受け入れたら次に行う事は意味合いの変更(リフレーム)です。
意味合いの変更には3つのタイプがあります。
- 違った視点から見てみてみる
(例)「〇〇さんに比べればこのくらいの状況は大した事ない」 - 文脈を変える
(例)「ストレスを感じるのは辛いが決して悪いものではない。ストレスを感じるのはきちんと実行しようという気持ちの表れだ」 - 価値や意味を変える
(例)「ストレスがない人生なんて刺激のない人生だ。ストレスは合った方が良いんだ」
ストレス対処法でやらない方が良い事
ストレス対処法でやった方が良い事は状況を受容する事でした。
では一方ストレス対処法でやらない方がよいことはなんでしょう。
その状況を受け入れない事、いわゆる、否認です。
ストレス解消で飲みすぎちゃった
はい、飲酒も否認の一手段ですね。
否認が悪い理由は、対応を遅らせるため状況を悪化させる可能性があるからです。
ガンの診断を受けた患者が自分がガンであることを受け入れず、手術を拒否したら
どうでしょう?
当然ガンを悪化させ、手遅れになる可能性が高まります。
しかし、否認も場合によっては良い効果を発揮する場合もあるのです。
それは
- すぐに必要とされる行動から気をそらさせてしまう感情や考えを抑える
- 不快な情報に徐々に順応したり、自分自身に必要な情報を与える
但し否認が効果を発揮するのは先延ばしした結果が良いとわかっている場合に限られるでしょう。
ストレス状況を解決する
ここまでストレスの対処法をみてきましたが、最後に実際にストレス状況の解決方法を簡単にみていきます。
ストレスの解決には問題解決プロセスを使っていきます。
この問題解決プロセスは私生活や仕事上でも経験されている事が多いのではないでしょうか?
是非問題解決プロセスを使ってストレス状況を積極的に解決していきましょう。
- 問題を言葉で定義する
- 可能な限り取ることができる行動を考える
- 他の人が同様の問題を抱えたらどのように対処するか考える
- 対処行動を効果と実現性から評価
- 一番よい対処行動を選択
- 解決策の実行
まとめ
いかがでしたか?
- ストレス対処においては、自身のイラショナルビリーフを常に点検し、合理化する事が重要
- ストレスに巻き込まれた場合、まずはそのストレス状況を受け入れる
- ストレス状況を受け入れられたら対処行動をいくつか考え、一番良い対処法を実行す
是非試してみてください。