【1人でデキるREBT講座】第三回 不健康な感情を健康的な感情に変えるABC理論って何?
前回で不健康なネガティブな感情を健康なネガティブな感情に修正するには、その人のビリーフ
を修正する必要があるとお伝えしました。
今回はネガティブな感情が産み出されるメカニズムABC理論について
詳しく見ていきたいと思います。
Table of Contents
出来事により結果が引き起こされるわけではない
早速ですがABC理論とはなんでしょうか?
これは3つの言葉の頭文字からきています。
AはActivating event 日本語で”出来事”と訳されます。
BはBelief まさに”ビリーフ”日本語では信念と言われます。
CはConsequence 日本語で”結果”ですね。
この結果とは”結果として起きる感情と行動”を言います。
ではこの3つの関係を実際の例で考えてみましょう。
A(出来事)
あなたは隣人から陰口を言われていると知ります。
これが出来事のAです
B(イラショナルビリーフ)
「人はどんなことがあっても陰口をいうべきではない。陰口を言う隣人は最低だ」というビリーフをもっているあなたは
C(感情及び行動の結果)
結果として感情として怒りを感じます。
そして、行動として関係のない子供に八つ当たりしてしまいました。
あとになって子供に八つ当たりしたことを深く後悔します。
いったい何がわるかったでしょうか?
私たちは、陰口をたたいた隣人のせいで、怒りを感じて子供に八つ当たりしてしまった、と
思いがちです。
つまり出来事せいで、結果として悪い感情と行動が引き起こされたと考えるのです。
しかし下記の図を見てみてください。
下図はA(出来事)とC(結果)とB(ビリーフ)の関係を表しています。
この図の通り、実はあなたの出来事のとらえ方(ビリーフ)で結果が引き起こされて
いるのです。
この例のようにREBTでは望ましくない結果を引き起こすビリーフを
イラショナルビリーフ
と呼んでいます。
人はなぜイラショナルビリーフは持つのでしょうか?
では、この
「人はどんなことがあっても陰口をいうべきではない。陰口を言う隣人は最低だ」
というイラショナルビリーフをあなたはなぜもったのでしょう?
REBTの創始者のアルバートエリスは
人々はその欲求が特に強烈な時はごく容易に欲求を絶対的な”ねばならない”にエスカレート
させる傾向があると指摘しています。(Ellis 1976)
どんなにラショナルのしつけを受けたとしても人は個人的、及び社会的願望を
エスカレートさせて、自分、他人、身の回りの環境に対して絶対的な欲求をするのです。
したがって、イラショナルビリーフは誰にでもあるのです。
しかし、このイラショナルビリーフ。
選択能力とイラショナルな考え方を明らかにすることで、ラショナルに変える事ができるのです!
我々は繰り返し、イラショナルビリーフを変える努力をする事により、それを克服する
ことができるのです!
一番多いイラショナルビリーフである”ねばならない”の3タイプ
イラショナルビリーフをいくつかのタイプに分類できます。
私がカウンセリングをやっていて一番多いイラショナルビリーフは前述の
”ねばならない”
というイラショナルビリーフです。
この”ねばならな”という独断的な要求はさらに大きく3つに分ける事ができます。
1.自分自身に対する要求
この”ねばならない”は「自分はうまくやって上司に認められなければならない。そうでなければ大変だ」
といったものです。
自分自身の”ねばならない”は不安、鬱状態、恥ずかしさ、罪悪感等の感情につながります。
2.他人に対しての要求
この”ねばならない”は「自分に対してよくしてくれないのはひどい。そんな状況耐えられない」
といったものです。
前述の近所の人に陰口を言われ、子供に八つ当たりするのも他人に対する要求ですね。
他人に対する”ねばならな”は怒りにつながることが多いです。
3.世間や人生に対する要求
この”ねばならない”は「自分が送る人生は自分の思う通りでなければならない。
もしそうでなければひどいものだ。耐えられない」
といったものです。
世間や人生に対する”ねばならな”は自己憐憫、苦痛、問題引き延ばしに関連します。
また、”ねばならない”以外のイラショナルビリーフとしては
- おびえ(~なったらおしまいだ!)
- 低い欲求不満耐性(~耐えられない!)
- 価値の否定(~価値がない!)
等があります。
イラショナルビリーフからラショナルビリーフへの変換法
ではどのようにこれらイラショナルビリーフをラショナルビリーフに変える事ができるのでしょうか?
人は下記のように左側のイラショナルビリーフを右側のラショナルビリーフに変えることが可能です。
イラショナルビリーフ | ラショナルビリーフ |
~ねばならない! | ~の方が良い |
~になったらおしまいだ! | 好ましくはないが、おしまいではない |
~は耐えられない! | 不都合だが耐えられる |
~価値がない! | 不完全だが価値がある |
では早速、この表を参考にして、
「人はどんなことがあっても陰口をいうべきではない。陰口を言う隣人は最低だ」
をラショナルビリーフに変えてみましょう。
最初のセンテンスの「~いうべきではない」は「~の方が良い」に
2番目のセンテンスの「~最低だ」は「不完全だが価値がある」に
それぞれ変換が可能だとわかるでしょう。
そうすると
「人はどんなことがあっても陰口をいうべきではない。陰口を言う隣人は最低だ」は
「人は陰口を言わない方がよい。陰口を言う隣人は不完全だが価値がある」
というラショナルビリーフに変換することができるのです。
イラショナルビリーフをラショナルビリーフに変換する事で
子供と和やかに遊ぶ
という結果を得ることが可能なのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
出来事が問題ではなく、出来事のとらえ方が問題だ、というABC理論に関して
ご理解いただけたでしょうか?
ここまでがABC理論の基礎となりますが次回は応用編として
Despute(論駁)に関して触れていこうと思います。