「言いたいことが言えない」から卒業!自己受容でできるアサーション
「本当は言いたいことがあるのに、ぐっと飲み込んでしまう」
「つい感情的に言いすぎて、あとで後悔する」
こんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。
人と関わるなかで、自分の気持ちを大切にしながら、同時に相手の気持ちも尊重することは意外と難しいものです。
そんなときに役立つのが「アサーション(自己主張)」という考え方です。
アサーションは単なる「はっきり言う技術」ではなく、自分もOK、相手もOK という関係性を目指すコミュニケーションです。
ただし――ここで見落とされがちな大切なポイントがあります。
それは、「自分もOK」と思えなければ、アサーションは成立しないということです。
つまり、自己受容(自分を受け入れること)がアサーションの第一歩なのです。
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アサーションとは?
アサーションとは、「自分の気持ちや意見を率直に表現しながら、相手の気持ちや意見も尊重する」 コミュニケーションのことです。
人との関わり方は大きく4つに分けられます。
自分NG・相手OK(受身的)
職場で「残業お願いできる?」と頼まれたとき、本当は疲れているのに「はい、大丈夫です」と無理してしまう。
→ 相手は助かるが、自分にはストレスが溜まる。
自分OK・相手NG(攻撃的)
家庭で「今日は疲れてるから手伝ってよ」とパートナーに言われたとき、「こっちだって大変なんだ!」と突き放す。
→ 自分の主張は通るが、相手との関係が悪化しやすい。
自分NG・相手NG(無力感)
友人に「今度遊ぼう」と誘いたいのに、「どうせ断られる」と諦めて声をかけない。
→ 自分も相手も否定し、関係が深まらない。
自分OK・相手OK(アサーティブ)
職場で「残業は今日は難しいですが、明日なら対応できます」と伝える。
→ 自分の事情も相手の事情も尊重でき、良い関係が保てる。
この最後の状態――「自分もOK、相手もOK」 がアサーションの理想形です。
自己受容の重要性
アサーションの土台は「自分もOK」という感覚。
これがなければ、理想的なコミュニケーションにはたどり着けません。
例えば、
- 自分にダメ出しばかりしていると、職場で「どうせ自分なんて」と引っ込み思案になり、相手に合わせすぎてしまう。
- 逆に「自分はダメだ」という気持ちを隠すために相手を下げ、「自分の方が正しい」と攻撃的になってしまう。
どちらも「自分OK」がないために起こる極端なふるまいです。
だからこそ、アサーションの第一歩は自己受容。
「自分の気持ちも意見も大切にしていいんだ」と思えるからこそ、相手の気持ちや意見も尊重できるようになるのです。
条件付き自己受容の落とし穴
とはいえ、自己受容は簡単ではありません。
多くの人は、知らず知らずのうちに “条件付き” の自己受容をしています。
- 仕事で成果を出せた自分ならOK。
- 家庭で優しくできた自分ならOK。
- 友人に気を使えた自分ならOK。
一見すると「自分を認めている」ようですが、これは 条件を満たしたときだけのOK です。
問題は、この考え方を相手にも当てはめてしまうこと。
「相手が○○してくれるなら受け入れる」「相手が□□であるなら尊重できる」といった条件をつけてしまいます。
これでは「自分もOK、相手もOK」にはなれません。
無条件の自己受容がアサーションを可能にする
大切なのは “無条件の自己受容” です。
- 成功しても失敗しても、自分は自分でOK。
- できるときもできないときも、自分は存在していていい。
- 長所も短所も含めて、そのままの自分を認める。
例えば、職場で失敗しても「それでも自分は価値ある存在」と思えれば、冷静に改善を考えられる。
家庭でうまくいかない日があっても「そんな日もある」と思えれば、相手に当たり散らさずにすむ。
友人に断られても「それでも自分はOK」と思えるから、関係を不必要に否定しなくてすむ。
自分を無条件に受け入れられると、相手に対しても「その人はその人でOK」と自然に思えるようになります。
これが「自分もOK、相手もOK」というアサーションの実現につながります。
まとめ
- アサーションは「自分もOK、相手もOK」を目指すコミュニケーション。
- しかしその第一歩は「自分を無条件にOKと思えること=自己受容」。
- 条件付きの自己受容では相手も条件付きでしか受け入れられず、理想の関係は築けない。
だからこそ――
自己受容こそが自己主張の第一歩。
自分にOKを出すことが、相手にもOKを出せるアサーションにつながっていきます。